人間の脳の神経回路を参考にした「ニューラルネットワーク」を何層にも深く重ねた機械学習の手法。画像認識や生成AIの爆発的進化を生んだ立役者。
従来の機械学習では「どこに注目するか(特徴)」を人間が設計する必要がありましたが、ディープラーニングはデータから特徴そのものを自動で見つけ出します。層が深いほど複雑なパターンを捉えられるため「ディープ(深い)」と呼ばれます。
2012年ごろの画像認識ブレイクスルーから、ChatGPTなどの大規模言語モデルまで、この10年のAIの進化はほぼディープラーニングの進化です。生成AIを理解する上での前提知識として、名前と位置づけだけでも押さえておくと役立ちます。
従来の機械学習では、「猫を見分けるなら耳の形と髭に注目しよう」といった着眼点(特徴量)を人間が設計していました。ディープラーニングの革命は、この着眼点探しをAI自身にやらせたことです。大量の猫画像を見せれば、どこに注目すべきかを勝手に発見します。
人間が設計をやめたら性能が上がった——これは職人的には少し寂しい話ですが、「人間が言語化できない特徴」まで拾えるようになったのが強さの源泉です。関係としては、機械学習という大きな枠の中の一手法がディープラーニング、という位置づけです。
節目は3回ありました。2012年、画像認識コンテストでディープラーニング勢が従来手法に圧勝(AlexNet)。ここで「深くすれば勝てる」が証明されました。2017年、Googleがトランスフォーマーという新構造を発表し、言語の扱いが一変。そして2022年、その延長線上にChatGPTが登場し、研究室の技術が一般人の道具になりました。
つまりこの10年強のAIニュースは、ほぼすべてディープラーニングの進化史です。いま話題の生成AIも、系譜をたどれば2012年の画像コンテストにつながっています。
アイデア自体は1980年代からありました。足りなかったのは3つ——①学習に使える大量のデータ(インターネットの普及で解決)、②膨大な計算力(ゲーム用GPUの転用で解決)、③深い層をうまく学習させる技術(研究の蓄積で解決)。この3つが2010年代に同時に揃いました。
「昔からあった理論が、環境が追いついて花開いた」というのは技術史ではよくある話ですが、ディープラーニングはその最大級の実例です。
入れ子構造です。機械学習という大きな枠の中にディープラーニングがあり、ディープラーニングで作られた応用のひとつが生成AIです。
使う側には数学は不要です。「大量のデータから着眼点ごと自動で学ぶ手法」という位置づけと、得意・不得意の感覚がつかめていれば、実務の会話には十分です。
用語を覚えるより、ストーリーで体感するほうが早い。