国産LLMとローカルLLMの違いとは?
国産LLMは「国産車」、ローカルLLMは「自家用車」。前者は作り手の分類、後者は使い方の分類なので、国産をクラウドで使うことも、海外製を手元で動かすこともあります。両方を満たす「国産モデルを手元で動かす」が、持ち出せないデータを扱う現場の本命です。
どちらも「海外のクラウドAIに全部を預けてよいのか」という不安の文脈で登場するため、セットで語られて混ざりやすい2つの言葉です。しかし分類の軸はまったく別です。国産LLMは、日本の企業や研究機関が開発した大規模言語モデルの総称。LLM-jp、Sarashina、tsuzumi、PLaMoなどがこれにあたり、軸は「誰が作ったか」です。
ローカルLLMは、クラウドのAPIではなく自分のPCや自社サーバーでLLMを動かす方式で、軸は「どこで動かすか」。動かすモデルが国産か海外製かは問いません。つまり2つの軸は直交していて、国産モデルをクラウドサービスとして使う形もあれば(2026年10月に無償ベータが始まったSarashinaサービスはこの形です)、海外製のオープンモデル(LlamaやGemmaなど)を手元で動かすローカルLLMもあります。
国産LLMとローカルLLMの比較表
| 国産LLM | ローカルLLM | |
|---|---|---|
| 分類の軸 | 誰が作ったか(開発元が日本) | どこで動かすか(自分のPC・サーバー) |
| たとえるなら | 国産車(作り手の分類) | 自家用車(使い方の分類) |
| 対になる言葉 | 海外製LLM | クラウドLLM(APIで使う) |
| 重視すること | 日本語の扱い・国内にデータを置ける選択肢・供給の安定 | データを外に出さない・API課金なし・自由に改造 |
| 使う形 | クラウド提供もローカルで動かせる公開モデルもある | 国産・海外製を問わず手元で動かす |
| 代表例 | LLM-jp、Sarashina、tsuzumi、PLaMoなど | Llama、Gemma、Qwen、LLM-jpなどの公開モデル |
どっちを使う?(使い分けの指針)
使い分けの前に、この2語で考えるべきは「自分の心配事はどちらの軸か」です。日本語の細かい扱いが心配、国外のサービスの提供条件に振り回されたくない——それは「誰が作ったか」の話なので、国産という切り口で探します。一方「このデータは1バイトも外に出せない」が要件なら、効くのは「どこで動かすか」の軸です。重みが公開されたモデルを手元やオンプレミスで動かすのが答えで、そのモデルが国産か海外製かは二の次になります。両方が要件なら、オープンに公開されている国産モデルをローカルで動かす組み合わせが本命です。
いちばん多い誤解は「国産LLMならデータが外に出ない」です。国産でもクラウドサービスとして使えば、データは開発元のサーバーに送られます。逆にローカルで動かせば、海外製モデルでもデータは手元から出ません。さらに「国産」の定義自体、学習データ・開発主体・動かす場所のどれを指すかで揺れがあると指摘されています。ニュースや提案でこの2語を見たら、「モデルはどこで動くのか」「入力したデータはどこへ行くのか」を具体的に確認する——この2つの質問だけで、言葉の混同による事故はほぼ防げます。
よくある質問
公開のされ方によります。LLM-jpのように重みがオープンに公開されているモデルは、自分のPCやサーバーにダウンロードして動かせます。一方、クラウドサービスやAPIとしてだけ提供される形もあります。「国産だから手元で動く」わけではなく、そのモデルの提供形態を確認してください。
出ないとは限りません。国産でもクラウドとして使えば、データは提供元のサーバーに送られます。たとえばSarashinaの無償ベータ版は、入力内容が改善に使われる場合があると明記されています。データを外に出さないことが要件なら、国産かどうかではなく、ローカルやオンプレミスで動かせるかで選ぶのが確実です。
「データが手元から出ない」という安心は同じように得られます。ただし国産LLMが重視している論点はそれだけではなく、日本語の細かい扱いや、提供条件が国外の事情で変わらないことも含まれます。何を安心と呼んでいるのかを分けて考えると、選択がぶれません。