COMIXAI吉川 聡史
企画・マーケティング

キャッチコピーのプロンプト

AIは100案出す係。人間は「ひっかかり」を見つける係。

キャッチコピーは「たくさん出して捨てる」仕事です。プロのコピーライターも1本のために100本書きます。この物量戦こそAIの独壇場——ただし、頼み方を間違えると100本全部が同じ味のダジャレになります。

コピーの原料は言葉のセンスではなく、ターゲットの本音です。誰が・何に困っていて・本当は何と言われたいのか。これを渡してから量産させると、100本の中に「おっ」と手が止まる数本が混ざるようになります。

まず、事故る指示から見る

BAD PROMPT — ありがちな頼み方

新しいコーヒーショップのキャッチコピーを考えて。10個。

↓ すると、こうなる

「1. 一杯の幸せを、あなたに。 2. 香りで始まる、特別な一日。 3. こだわりの一杯が、ここにある。——」…どこかで見たフレーズの再放送が10本並びます。このコピーが刺さる相手は、世界に一人もいません。

ターゲットも、店の個性も、競合との違いも渡していないので、AIは「コーヒーショップのコピーの平均値」を出力します。コピーの平均値とは、つまり誰の記憶にも残らない言葉のことです。

また10案は少なすぎます。AIの1〜10案目は頭に浮かびやすい定番から出てくるので、面白いものは20案目以降に潜んでいることが多いのです。

コピペで使えるプロンプト

【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。

GOOD PROMPT — このままコピペOK
あなたは、ターゲットの本音を言い当てるのが得意なコピーライターです。
以下の条件でキャッチコピーを作ってください。

■商品・サービス
・何か:【例:住宅街の小さな自家焙煎コーヒーショップ】
・事実としての強み:【例:店主が毎朝焙煎。豆は2週間以内のものだけ】
・競合との違い:【例:チェーン店より高いが、豆の鮮度で勝負】

■ターゲット
・誰:【例:在宅勤務で家とコンビニの往復になっている30〜40代】
・その人の本音・不満:【例:「淹れたてくらいの贅沢はしたい」「チェーンの味に飽きた」】
・コピーを見る場所:【例:店頭の看板/Instagram広告/のぼり】

■出力形式
・切り口を変えて合計30案。以下の枠で10案ずつ
  A) 本音直撃型 — ターゲットの心の声をそのまま言葉にする
  B) 事実型 — 強みの事実を意外な角度から言い切る
  C) 常識ひっくり返し型 — 業界の当たり前に異を唱える
・各案に、狙い(誰のどの感情を突くか)を1行添える
・うまいこと言おうとしたダジャレ・語呂合わせは禁止

このプロンプトが効く理由

1
本音・不満が最強の原料

「チェーンの味に飽きた」という一行から、AIは何十通りもの言い換えを生成できます。商品の説明よりも、ターゲットの心の声を渡すほうがコピーは強くなります。

2
切り口を枠で分けて出させる

「30案出して」だけだと同じ発想の言い換えが並びます。本音型・事実型・逆張り型のように枠を切ると、発想の重複が構造的に防げます。

3
ダジャレ禁止令

AIは放っておくと語呂合わせに逃げます。「うまいこと言った風」を明示的に禁止するだけで、打率が目に見えて上がります。

4
掲出場所を伝える

看板は3秒、Instagramは0.5秒。コピーを見る場所と時間で、適切な長さと強さが変わります。メディアの指定は文字数指定より効きます。

アレンジレシピ

気になった1本を増殖させる

30案から気になる1本を選んで「この方向で、もっと言い切りを強く10本」と掘るのが正しい2手目です。1回で決めず、選ぶ→増やすを2〜3周すると精度が上がります。

ボディコピーへ展開

コピーが決まったら「このキャッチコピーに続く、100字のボディコピーを3案。キャッチで作った期待を裏切らずに事実で支える内容で」と続ければ、広告文一式が揃います。

ABテスト用の対抗馬

「このコピーとABテストで戦わせるなら、真逆のアプローチはどんなコピー?」と頼むと、テスト設計まで見据えた選択肢が手に入ります。

現場の注意(ここで事故る)

既存コピーとの類似チェック

AIは学習した有名コピーに似た案を出すことがあります。使用前に「そのままのフレーズ」で検索し、有名企業の現行コピーと被っていないか確認してください。商標登録されているフレーズには特に注意が必要です。

効能・優位性の表現は広告規制の確認を

「日本一」「必ず痩せる」のような表現は景品表示法や薬機法に触れる可能性があります。AIは規制を完全には守ってくれないので、業種の広告ルールに照らした最終チェックは人間の仕事です。

キャッチコピー×AIのよくある質問

Q.プロのコピーライターは不要になりますか?
A.

むしろ逆で、選ぶ目の価値が上がります。AIは100案出せますが、どれが刺さるかの判断はターゲット理解と経験の領域です。プロの仕事が「書く」から「設計して選ぶ」に移る、と考えるのが実態に近いです。

Q.30案も読むのが大変です。
A.

全部を精読する必要はありません。ざっと眺めて「手が止まった案」に印をつけるだけでOK。1本も引っかからなければ、原料(ターゲットの本音)を書き直して再挑戦するほうが、読み込むより早く良い結果になります。

🎮
GAME — 遊んで身につける
お手本ひとつで
お手本の見せ方ひとつでAIの出力が化ける——コピー量産の精度を上げる感覚をゲームで体験。

レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。