議事録係を卒業する。会議の記録は「決定・宿題・論点」の3つだけ。
議事録は、AIに任せられる仕事の代表格です。録音の文字起こしや走り書きのメモを渡せば、数十分かかっていた清書が数分で終わります。若手の残業の定番だったこの仕事は、もう人間が抱える必要がありません。
ただし「議事録にして」とだけ頼むと、発言を時系列に並べただけの読まれない議事録ができます。読まれる議事録の正体は、決定事項・宿題(誰が・いつまでに)・持ち越し論点の3点セット。この構造をプロンプトで指定するのがコツです。
「田中氏より予算について説明があった。佐藤氏より質問があり、田中氏が回答した。続いて鈴木氏より——」…誰が何を話したかの要約が延々と続き、結局何が決まって誰が何をするのかは、最後まで読んでも分かりません。
「議事録」という言葉のイメージがAIと共有できていないのが原因です。AIは無難な形式として発言録スタイルを選びますが、実務で必要なのは会議の結果です。求める構造を明示しない限り、AIは時系列要約に流れます。
また、文字起こしには雑談や言い直しが大量に混ざっています。「どこを捨てていいか」の基準を渡さないと、AIは捨てる勇気を持てず、全部を薄く要約してしまいます。
【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。
「決定事項→宿題→持ち越し」の構造を指定することで、発言録ではなく結果の記録になります。毎回同じ形式なら、読む側も一瞬で把握できます。
文字起こしは音声認識のミスや発言者の混同を含みます。曖昧な箇所に(要確認)マークをつけさせることで、AIの創作が議事録に紛れ込むのを防げます。ここがこのプロンプトの安全装置です。
「デザイン方針の決定が目的」と伝えると、AIは何が重要発言かを判断できるようになります。目的を知らないAIには、雑談と重要議論の区別がつきません。
「雑談・言い直しは捨てる」と許可を出すと、要約が一気に引き締まります。AIは指示がないと「全部大事かもしれない」と考えて薄めます。
議事録が出たあと「この議事録を関係者に送るメール文にして。宿題を持っている人の名前が本文で目立つように」と続ければ、送信まで5分で完了します。
「この会議での私(佐藤)の発言だけ抜き出して、説明が分かりにくかった箇所を指摘して」と頼むと、議事録がプレゼンの練習台に変わります。
前回の議事録も一緒に貼って「前回の宿題のうち、今回進捗が報告されなかったものをリストアップして」と頼むと、やりっぱなし検出器になります。
会議の録音をAIサービスに入力してよいかは、会社のルールによります。特に社外の参加者がいる会議は、録音の同意と入力可否を事前に確認してください。議事録の効率化でコンプラ事故を起こしては本末転倒です。
音声認識は数字と人名・社名を間違えやすく、AIはその間違いを流暢に清書します。金額・日付・名前だけは、共有前に元のメモや資料と突き合わせてください。
「あの発言は決定だったのか、検討の続きだったのか」の判断はAIには荷が重い領域です。(要確認)がついた箇所は、必ず出席者に確認してから配布しましょう。
オンライン会議ツールの文字起こし機能(Teams、Zoom、Google Meetなど)が手軽です。対面の会議なら、スマホの録音をWhisperなどの文字起こしAIにかける方法があります。精度が多少粗くても、要約段階でAIがかなり吸収してくれます。
1時間の会議の文字起こしは1〜2万字程度で、最近のAIならそのまま入ることが多いです。入らない場合は前半・後半に分けて要約させ、最後に「2つの要約を統合して」と頼めばOKです。この「入る量」の正体は、用語集の「コンテキストウィンドウ」で解説しています。
専用サービスは録音から一気通貫で楽な反面、形式のカスタマイズに限界があります。このレシピの方法は一手間かかる代わりに、自社の議事録フォーマットに完全に合わせられるのが強みです。
レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。