「関数に詳しい同僚」が、隣の席に常駐する時代。
「この集計、関数でできるはずだけど書き方が分からない」——この15分の詰まりが、Excel仕事には1日に何度も発生します。AIはこの詰まりの特効薬で、やりたいことを日本語で言えば数式を書いてくれます。関数名を覚える時代は、実質終わりました。
ただしAIはあなたのシートが見えません。列がどこにあり、データがどんな形式か分からないまま書いた数式は、もっともらしく見えて動きません。表の構造を渡す——たったこれだけで、AIのExcel力は「うろ覚えの新人」から「頼れる同僚」に化けます。
「SUMIF関数を使います:=SUMIF(A:A, "担当者名", B:B)」…関数の選択は正しいのに、あなたの表では担当者はC列、金額はF列。そのまま貼ると0が返り、「AIは使えない」という結論だけが残ります。
AIは表の構造を推測で埋めるしかなく、世間で一番ありがちな配置(A列に名前、B列に数値)を仮定します。数式は1文字ずれれば動かないので、この推測が外れた瞬間に「正しい知識で書かれた、動かない数式」が生まれます。
また、セルの書式問題(数字が文字列として入っている、日付の形式が混在)は、Excelトラブルの二大源泉ですが、実物の状況を伝えないとAIには見抜けません。
【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。
「C=担当者、F=金額」の1行があるだけで、返ってくる数式はコピペで動くものになります。表の構造を伝える手間は30秒、動かない数式のデバッグは30分です。
両者は似て非なるもので、片方にしかない関数が結構あります(GoogleのQUERY関数など)。ツール名を伝えないと、存在しない関数を勧められることがあります。
数式の意味が分かれば、次に似た場面が来たとき自分で応用できます。「動けばいい」から「分かって使う」への一歩が、コピペ指示の一行で手に入ります。
複雑な数式より、ピボットテーブルや標準機能のほうが安全で速いことは多々あります。「数式で解く」に固執しないための保険です。
動かない数式は「この数式が#N/Aになる。表の構造は◯◯。原因の候補を可能性が高い順に」と貼るだけ。エラーメッセージとの格闘が、数分の質疑に変わります。
前任者が残した謎の数式を貼って「これが何をしているか、Excel初心者向けに日本語で説明して」と頼めば、引き継ぎ資料のないシートも解読できます。
「この作業を毎週やっている。関数では無理ならマクロ(またはGoogle Apps Script)で自動化できるか、できるなら手順を初心者向けに」と聞けば、自動化の次の階段に進めます。
構造だけでなくデータの実物を貼ると精度は上がりますが、顧客名や給与などの実データは貼らないでください。ダミー行を数行作って渡せば、精度と安全の両方が手に入ります。
数式が「動く」ことと「正しい」ことは別です。導入時に一度だけ、小さな範囲を手計算やフィルタで検算してください。特にVLOOKUP系の「それらしい値が返ってくるが実はズレている」事故は、検算でしか見つかりません。
アリです。最近のAIは画像から表の構造をかなり正確に読み取ります。ただし個人情報が写り込んでいないかの確認と、読み取った列の対応が合っているかの一言確認はしてください。
暗記は不要になりましたが、「何ができるか」の地図は持っておく価値があります。VLOOKUP・SUMIF・ピボットテーブルという道具の存在を知っていれば、AIへの頼み方が的確になり、返ってきた答えの検算もできます。
レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。