求人票は会社の広告。なのに放っておくと、どの会社も同じ文面になる。
求人票は、会社が書く広告文のなかで最も費用対効果が大きい文章です。1人の採用には百万円単位の費用がかかるのに、その入口の文面は「仕事内容:デザイン業務全般」のまま——もったいない状態の会社がたくさんあります。
AIは募集文の整った下書きを一瞬で作りますが、それだけなら他社と同じテンプレ求人が増えるだけです。差がつくのは渡す材料。直近のプロジェクト、チームの実像、仕事の大変なところ——現場の事実を渡したときだけ、読んだ人が「働く自分」を想像できる求人票になります。
「【仕事内容】Webサイトのデザイン業務全般をお任せします。【求める人物像】コミュニケーション能力が高く、向上心のある方。【当社の魅力】風通しの良い職場で、成長できる環境です」——どの会社の求人にも書いてある言葉だけで組み上がった文面が出てきます。仕事の中身も職場の実際も想像できず、読み流されて終わり。しかも「年間休日125日・残業月10時間程度」のような、確認していない待遇の数字を勝手に補ってくることさえあります。
渡したのが職種と雇用形態だけなので、AIは求人サイトにあふれる平均的な文面をなぞるしかありません。応募を考える人が知りたいのは「この会社で働く具体的な日々」なのに、その材料がひとつも渡っていないのです。
「求める人物像」をAIに想像させると、コミュ力・向上心・主体性の抽象3点セットに必ず着地します。誰も除外しない条件は、誰の心にも刺さりません。そして最も危険なのが待遇の創作——求人票の数字の誤りは、信頼問題と法律問題に直結します。
【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。
直近のプロジェクト名、チームの人数と雰囲気、1日の流れ——この具体性だけが、求人サイトの海で目に留まる理由になります。テンプレ求人はAIのせいではなく、渡した材料のせいです。
風通し・アットホーム・成長環境。禁止ワードを明示すると、AIは手持ちの材料から具体的な言い換えを探し始めます。「風通しが良い」が「デザインの最終判断までデザイナーに任せる」に変わる瞬間です。
求人の成果は応募の数ではなくマッチの数です。しんどい部分を先に伝えると、応募は少し減っても、辞退と早期離職がもっと減ります。正直さはそれ自体が「誠実な会社」のアピールにもなります。
給与・休日・残業の数字は、求人票でいちばん読まれていちばん事故る箇所です。「材料にないものは【要確認】」の一行で、AIのもっともらしい補完を止め、穴は人事の原本で埋めます。
下書きができたら「この内容を、求人サイト用(網羅的に)/自社サイト用(読み物風に)/SNS告知用(200字で)に書き分けて」と展開。1回の材料集めで全チャネルぶんが揃います。
「来てほしい人(制作会社出身のデザイナー)になりきって、この求人票の正直な感想と、応募をためらうポイントを言って」と自己レビューさせると、公開前に弱点が見えます。
同じ材料で「この求人を、◯◯な経歴の人に送る個別スカウトメッセージ(200字・なぜあなたかが伝わる形)にして」と頼めば、テンプレ一斉送信から卒業できます。
給与・労働時間・休日などの記載は、職業安定法で的確な表示が求められる領域です。AIの下書きにある数字・制度は必ず原本と突き合わせ、公開前に人事・労務の確認を通してください。社内の未公開情報(給与テーブル等)を貼る場合は、入力が学習に使われない設定のAIで。
「若手歓迎」「女性が活躍中」のような表現は、男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法の観点で問題になり得ます。AIは海外の慣行で書いてくることもあるので、公開前に「応募を限定する表現がないか」の視点で必ず見直してください。
使えます。今の求人票を貼って「転職活動中の読者になりきって、情報が足りない箇所と、どの会社でも言える言葉になっている箇所を指摘して」と頼むと、書き直す前に問題点のリストが手に入ります。
想像の理想像から書くのをやめて、今いる活躍メンバーの共通点から逆算するのが正解です。goodPromptの「活躍している人の共通点」の欄がそのためにあります。実在の人の特徴は、具体的で、再現性があります。
待遇で大手と戦う必要はありません。仕事の裁量、事業との距離の近さ、意思決定の速さ——小さな会社にしかない事実を材料に渡してください。「全部やれます」ではなく「ここが好きな人には最高」と絞るのが、小規模採用の定石です。
レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。