COMIXAI吉川 聡史
企画・マーケティング💡

企画書のたたき台のプロンプト

白紙とにらめっこする時間を、たたき台を選ぶ時間に変える。

企画仕事でいちばん時間を溶かすのは、最初の一歩——白紙の状態から「なにか」を出すところです。生成AIはここが異常に得意で、方向性の違うたたき台を10分で10本出せます。人間の仕事は、書くことから選んで磨くことに変わります。

ただし「企画を考えて」だけでは、実現性を無視したアイデアの霧が出てくるだけです。効くのは制約条件。予算・期間・使える資産・やらないことを渡した瞬間、AIの出力は「発想」から「企画」に変わります。

まず、事故る指示から見る

BAD PROMPT — ありがちな頼み方

自社サービスの売上を伸ばす企画を考えて。

↓ すると、こうなる

「1. SNSキャンペーンの実施 2. インフルエンサーマーケティング 3. 会員限定イベントの開催 4. サブスクリプションモデルの導入——」…ビジネス書の目次のような施策名の羅列が出てきます。どれも間違いではないが、自社で明日から動かせるものはひとつもありません。

「自社」の中身——商材、顧客、予算、人手、過去にやって失敗したこと——を何も渡していないので、AIは世の中の施策カタログを読み上げるしかありません。企画の価値は「自社の条件で成立すること」にあるのに、その条件が全部欠けています。

さらに、評価軸がないため、AIはアイデアを絞り込めません。10案を10案のまま渡されても、選ぶ側の負担は白紙のときと大差ないのです。

コピペで使えるプロンプト

【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。

GOOD PROMPT — このままコピペOK
あなたは、実現性とインパクトのバランス感覚に優れた事業企画のプロです。
以下の条件で、企画のたたき台を作ってください。

■前提
・会社と商材:【例:従業員30名のWeb制作会社。中小企業向けサイト制作が主力】
・解きたい課題:【例:新規問い合わせが前年比2割減】
・ターゲット:【例:地方の中小企業の経営者】

■制約
・予算と期間:【例:50万円以内、3ヶ月で結果を見たい】
・使える資産:【例:過去の制作実績200件、月1万PVのブログ】
・やらないこと:【例:広告費の大幅積み増し、値下げ】
・過去の失敗:【例:SNS運用は継続できず挫折済み】

■出力形式
・方向性の違う企画を5案。各案について
  「企画名/狙い(1行)/具体的な最初の一歩/概算コスト/リスク」を書く
・5案のうち「本命1・対抗1・大穴1」を選び、理由を添える
・大穴は、実現性を少し犠牲にしても意外性を優先してよい

このプロンプトが効く理由

1
制約が企画を作る

「50万円・3ヶ月・広告NG」という縛りが、施策カタログを自社専用の企画に変えます。制約は創造性の敵ではなく、AIにとっては最高の設計図です。

2
過去の失敗を渡す

「SNSは挫折済み」と伝えないと、AIは真っ先にSNS運用を提案してきます。やって駄目だったことは、プロンプトに書くだけで二度と提案されなくなります。

3
本命・対抗・大穴で選ばせる

5案を並列で受け取るより、AI自身に優先順位と理由を言わせるほうが検討が速く進みます。理由に納得できなければ、そこから対話で掘ればいい。

4
「最初の一歩」を書かせる

企画倒れの原因は、初動が曖昧なことです。「来週何をするか」まで具体化させると、たたき台の実現性が一目で判定できます。

アレンジレシピ

選んだ1案を企画書に成長させる

「本命案を、上司に見せるA4一枚の企画書にして。構成は背景/企画概要/期待効果/スケジュール/予算」と続ければ、たたき台から提出物まで同じ会話で進めます。

悪魔の代弁者モード

「この企画に反対する立場から、痛いところを5つ突いて」と頼むと、上司や会議で刺される前に弱点を潰せます。AIは遠慮なく批判させると本領を発揮します。

他業界の成功パターン移植

「この課題に対して、まったく別の業界ではどんな解決が行われているか。5業界分、うちに移植するとしたらどうなるかもセットで」と頼むと、発想の幅が一気に広がります。

現場の注意(ここで事故る)

事業数字の入力粒度に注意

売上や利益率などの機密数字は、桁感がわかる程度(「問い合わせ2割減」など)に丸めて渡しても、企画の質はほぼ落ちません。生の経営数字を入れる前に、社内のAI利用ルールを確認してください。

AIの「市場データ」を根拠にしない

たたき台にAIが添えてくる「市場規模◯◯億円」「◯◯%の企業が導入」といった数字は、実在しないことがあります。企画書に昇格させる際は、根拠数字を必ず一次情報に差し替えてください。

たたき台のまま提出しない

AIのたたき台は「うちの会社らしさ」が薄い状態です。現場の肌感、顧客の生の声、あなた自身の仮説を1つ以上足してから提出する——それだけで「AIっぽい企画」から「あなたの企画」になります。

企画書のたたき台×AIのよくある質問

Q.アイデアが平凡なものばかり出てきます。
A.

2つ試してください。①「大穴枠」のように意外性を明示的に要求する、②「小学生向けに説明すると?」「制約が10倍厳しかったら?」のように視点をずらす追い質問をする。AIの初手は平均的で、掘ると面白くなるのが基本挙動です。

Q.企画のパクリ・著作権は大丈夫ですか?
A.

企画の方向性やアイデア自体に著作権はありませんが、特定の他社キャンペーンの丸写しに近い案が出ることはあります。固有名詞つきの類似例がないか、実行前に軽く検索して確認すると安心です。

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レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。