提案書の主役は自社の商品ではなく、相手の課題。AIにもそう教える。
読まれない提案書には共通の型があります。自社紹介→商品説明→料金、という「こちらの言いたいこと」順の構成です。読む側の頭の中は常に「うちの課題は解決するのか」だけなので、その答えに辿り着く前に読むのをやめてしまいます。
AIに提案書を手伝わせる最大の利点は、この構成を機械的に「相手起点」へ強制できることです。ヒアリングで掴んだ相手の課題を最初に渡し、商品説明はその解決手段としてしか登場させない——プロンプトでそう縛ってしまえば、提案書の質は構造から変わります。
「1. 弊社について 2. サービスの特徴 3. 制作実績 4. 料金プラン 5. お問い合わせ」…どの会社に出しても使い回せる=A社が読む理由がない構成が出てきます。A社の「A」の字が、表紙にしか登場しません。
A社の情報を何も渡していないため、AIには「A社向け」を作る材料がありません。結果、自社パンフレットの再構成になります。提案書とパンフレットの違いは、相手の課題が書いてあるかどうか、それだけです。
またヒアリング内容を渡さない提案は、価格の勝負に吸い込まれます。課題への理解を示せない提案書は、相見積もりの1枚として扱われるからです。
【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。
「相手が語った課題」をそのまま1ページ目に書くと、読み手は「うちの話だ」と一気に引き込まれます。AIの文章力より、あなたのヒアリングメモの質が仕上がりを決めます。
「更新できる人がいない」のような、相手自身も言語化していない課題への言及は、提案の格を一段上げます。ただし断定は失礼なので「押し付けがましくない形で」の指定が効きます。
読む人と決める人が違うのは提案書の宿命です。「社長はコスト重視」という一行が、価格ページの作り方を根本から変えます。
競合より高いことを隠さず渡すと、AIは値下げではなく価格の正当化ページを設計してくれます。安さで勝てない提案ほど、この構成力が武器になります。
書かせる前に「この提案の弱点はどこ?A社の社長になったつもりで断る理由を5つ挙げて」と壁打ちすると、構成に反映すべき論点が先に洗い出せます。
「この提案書を送るメールを書いて。読んでほしいページを1つだけ指名して、次のアクションを提示する形で」まで作れば、送りっぱなし提案を防げます。
相手企業の課題や内部事情は、顧客から預かった機密情報です。実名でAIに入力してよいかは社内ルールと相手との関係次第。迷ったら「A社」「B業界」と匿名化して使ってください。提案の質はほぼ落ちません。
AIは「実績8件」を「多数の実績」「豊富な経験」と膨らませて書きがちです。事実の範囲を超えた表現になっていないか、実績・数字まわりの記述は必ず確認してください。
その場合は提案書ではなく「仮説をぶつける資料」に目的を変えましょう。「材料が薄いので、課題の仮説を3つ提示して相手の反応を引き出す構成にして」と頼めば、次のヒアリングにつながる資料になります。
このレシピの守備範囲は構成と本文までです。「プレゼン資料の構成」レシピと同様、デザインはスライドツール側の機能と組み合わせてください。中身が固まっていれば、デザインは最速で終わります。
レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。