COMIXAI吉川 聡史
企画・マーケティング

アイデア出し・ブレストのプロンプト

「アイデア10個出して」で出てくるのは、誰でも思いつく10個。

AIはアイデア出しの相棒として優秀です。文句を言わず何案でも出すし、徹夜明けでも質が落ちない。ただし素朴に「アイデアを出して」と頼むと、返ってくるのは最大公約数の案——つまり、会議で誰かがもう言っていそうな案ばかりです。

理由は単純で、AIは大量の前例から「もっともらしい答え」を出す装置だからです。だから発想を飛ばしたいときは、わざと変な制約や視点を渡して、前例の真ん中から追い出す。そして出てきた玉石混交の案を、評価軸で絞る。この発散→収束の2段構えが、AIブレストの正しい型です。

まず、事故る指示から見る

BAD PROMPT — ありがちな頼み方

新商品のプロモーション企画のアイデアを10個出して。

↓ すると、こうなる

「1. SNSキャンペーンの実施 2. インフルエンサーとのコラボ 3. 期間限定割引…」——どの業界のどの商品にも当てはまる、企画書の目次みたいな一覧が出てきます。間違ってはいない。でも、この10個から企画は生まれません。

情報がないAIは、あらゆる商品に通用する安全な一般論に寄せます。商品も、ターゲットも、予算も、何に困っているのかも知らないのだから、当然です。

もうひとつの罠は「10個」という数の少なさ。最初の10案は誰の頭でも出る案です。人間のブレストで「出し尽くした後の11個目」から面白くなるのと同じで、AIにも安全圏の在庫を吐き出させてからが本番です。

コピペで使えるプロンプト

【 】の中を自分の状況に書き換えて使ってください。全部埋まらなくても大丈夫——埋めた分だけ、出力があなた仕様になります。

GOOD PROMPT — このままコピペOK
ブレストの相手をしてください。まずは質より量、突飛な案も歓迎です。

■お題
【例:中小企業向け会計ソフトの認知を広げる企画】

■前提
・ターゲット:【例:経理を社長が兼ねている従業員10人以下の会社】
・使える資源:【例:予算50万円・SNSアカウント・導入企業の事例】
・避けたいもの:【例:値引き系、炎上リスクの高いもの】

■出し方
まず王道の案を10個。その後、以下の縛りで5個ずつ:
1. 予算ゼロでやるなら
2. ターゲットの「会計ソフト選び以外の悩み」から入るなら
3. 業界の常識を1つ破るなら(何を破ったかも書く)
4. 他業界の成功パターンを持ち込むなら(元ネタも書く)

■条件
・実現性はまだ気にしない。審査は後で私がやる
・似た案を言い換えて水増ししない
・各案は「一言タイトル+2行の説明」で

このプロンプトが効く理由

1
王道を先に吐き出させる

最初の10案は「出てくると分かっている案」の在庫処分です。先に出し切っておくと、そのあとの縛り付きの案が在庫の言い換えになりません。人間のブレストと同じ順序設計です。

2
縛りで発想の置き場を動かす

「予算ゼロなら」「常識を1つ破るなら」のような制約は、AIを前例の真ん中から追い出す道具です。自由にさせるより、縛った方が面白い案が出る——ブレストの逆説はAIにも当てはまります。

3
「悩みから入る」視点を混ぜる

商品から発想すると宣伝案になり、ターゲットの悩みから発想すると企画になります。視点の起点を指定できるのは、プロンプトならではの技です。

4
審査を分離する

「実現性は後で私が審査する」と宣言すると、AIが自主規制で案を丸めるのを防げます。発散フェーズに評価を持ち込まないのは、ブレストの鉄則です。

アレンジレシピ

収束フェーズ(2段階目)

案が出揃ったら「この中から、①実現しやすさ②ターゲットへの刺さり③新しさ、の3軸で各5点満点で採点し、上位5案の根拠を説明して」と続けます。発散と収束を別の指示に分けるのがコツです。

悪魔の代弁者モード

絞った案に「この案が失敗するとしたら何が原因か、意地悪な投資家の視点で指摘して」をぶつけると、企画書に書く「リスクと対策」の材料まで揃います。

一人多役ブレスト

「経理担当者・税理士・ITが苦手な社長の3人になりきって、それぞれの立場でこの案に一言ずつ感想を」と頼むと、会議室を借りずに多視点レビューができます。

現場の注意(ここで事故る)

AIの案をそのまま企画書にしない

AIの案は「発想の呼び水」です。出てきた30案の中の2つを組み合わせたり、1案の切り口だけ借りたり——最後のひとひねりを人間がやった案だけが、通る企画になります。

社外秘の事業情報の扱いに注意

未発表の商品や戦略をお題にするときは、入力が学習に使われない設定のAIを使ってください。ブレストは話が乗ってくるほど、うっかり書きすぎる場面です。

アイデア出し・ブレスト×AIのよくある質問

Q.何案くらい出させるのがいいですか?
A.

合計20〜30案が目安です。少ないと安全圏から出ず、多すぎると後半が水増しになります。レシピのように「王道10+縛り付き5×4」のような構造で頼むと、量と質を両立できます。

Q.出てくる案が毎回似ています。
A.

縛りの種類を変えるのが特効薬です。「10年前なら不可能だった案」「子ども向けに説明できる案」「競合が真似しにくい案」など、縛り自体をAIに考えさせる(「発想を飛ばす制約を5つ提案して」)のも有効です。

Q.一人でやるブレストとチームのブレスト、どちらに向いていますか?
A.

両方です。一人なら壁打ち相手として、チームなら「会議前にAIで30案出しておき、会議は選ぶ場にする」使い方が効きます。会議の時間が発想ではなく判断に使えるようになります。

GAME — 遊んで身につける
速い脳・遅い脳
パッと出す発想とじっくり考える推論——AIの2つの頭の使い方をゲームで体感できます。

レシピは覚えるより、今日の仕事でひとつ試すほうが早い。

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